東京は,私にとって,息子たちが学生時代を過ごした街だ。
仕事(ほとんど趣味)のための研修の機会にかこつけて,私は東京へ行き,息子の部屋に泊まった。息子たちはそれぞれに別の場所で部屋を借りて暮らしていた。
店で何か買ってきて一緒に夕食をとることもあれば,店に食べに行くことも,息子の部屋で作ることもあった。楽しかった。
息子の部屋中に転がっているペットボトルを拾い集め,外装をはずして洗い,つぶして捨てた。息子たちとは何を語るでもなかったが,一人一人と一緒にいられる時間がそこにはあった。
息子たちは社会人となり,東京から離れて簡単には行けない遠い町へ行った者もいるなどして,私にとって楽しかった一つの時代は終わった。
東京は,時には研修の場であり,時には劇団四季ミュージカルを楽しむ街であり,時にはデパ地下で高いきれいなおかずを買う場であり,そして何よりも息子たちそれぞれとのひと時を過ごした街だった。