奈良。何度か訪れた。エピソードもいろいろ。でも,なんといっても,奈良といえば,大仏。そして,奈良公園の鹿だ。そして,鹿せんべい。“鹿せんべい”という言葉に思わず “くすっ”となるようなほの温かいイメージ,傑作としかいいようのない鹿せんべいと鹿の関係,ちょっとした恐怖と生きるたくましさを思い浮かべるのは,私だけだろうか。
「道路を鹿が歩いている。」「店の前に鹿がいる。」その特別な光景のインパクトは大きい。しかし,この地で暮らしている地域住民の方々にとっては,ありふれた日常なのだろう。
数年前に,ネパールのカトマンズに行った。ここで見たのは,牛が路上を歩いている日常だ。牛はヒンズー教で神聖視されているという。「オー!」と心の中で叫びながら,私はカトマンズで奈良の鹿を思い出していた。