学生の頃も何度か北海道へ行った。新幹線はまだ開通しておらず,青函トンネルを掘っている時代だった。
北海道へは,青森から青函連絡船で行った。
記憶はもう鮮明ではない。
一番安い2等船室でいつも雑魚寝をしていたことだけ覚えている。
青い固い絨毯の広いスペースがあって,そこで何人もが雑魚寝をしていた。
寝ていたのだから,私は夜の船に乗ってたのか?
そのあたりは記憶にない。
うっすらと覚えているのは,2等船室には,枕と毛布が置いてあって,一人一つずつ使ってよかったような気がする。
雑魚寝上等。平気だった。
4時間くらいかかって函館に着いたのだったと思う。
大学生になって,一人で好きなように行動する自由を覚えた私は,全てが新鮮で楽しかった。
昨年,青森に行った。
もちろん青函連絡船は,もうない。
40年近くがたったのだという意識はなく,青森で青函連絡船のメモリアル号に入ってみて,ようやくそれが遠い昔のことになっているのだと知った。
メモリアル号に入って,あの雑魚寝席を探した。それらしき狭いスペースがあったが,「いや,こんなに狭くはなかったはずだ。」と,思った。事実はわからない。遠い過去のうすぼんやりとした記憶だ。