中央線に乗っていた時に、学生さんらしき若者二人の会話が聞こえてきた。比較的大きな声で話していたので、「カレー」という言葉が自然に入ってきて、つい耳を傾けてしまった。
「荻窪のトマトって店のカレーが一番うまい。」ということだった。その若者にとっての一番だが、誰かにとっての一番になれるカレーとは、どんなものだろう。いつか食べよう、と思った。
それから2、3年経ってからだったかもしれない。土曜日に東京のセミナーに出て大学生の息子の部屋に泊まり、翌日曜日は、特に予定はなかった。息子は何かの用事で朝から出かけてしまった。
ふと、中央線で聞いた会話を思い出した。「よし、トマトに行ってみよう。」ネットで場所を調べて、中央線に乗った。荻窪で降りて歩いた。11時開店のところ10時半くらいに着いたが、もう一人が並んでいた。30分ほど待って店内に入った。細かくは覚えていないが、スパイスの缶がずらりと並んでいたような。こじんまりした雰囲気のよい店だった。
カレーは「和牛ビーフジャワカレー」だったと思う。36種類のスパイスを使っているとか。期待どおり。濃い深い味わいだった、とにかくおいしかったとだけ覚えている。
東京には美味しいカレー屋さんがたくさんある。だからと言って東京に住みたくはないけれど、東京に行く楽しみの一つにはなる。