45年まえのことになった。中学3年生だった私は,受験勉強一色の毎日を過ごしていた。中学2年生までは,学校の授業以外に家で勉強などしたことがなかった。しかし,そのままでいつまでもいけるわけがない。2年生の秋に数学の定期テストで四十何点だったか,それまでに見たことがない点数を取り,ショックを受けた。そこから,苦手だった図形の問題集を買ってきて,自分が納得がいくまで全ての問題を解き,数学は得意科目になった。そして中2の秋から始まった実力テストに向けて過去の復習をしていく中で,勉強は楽しいものになった。突き詰めて「わかろう」「覚えよう」とすると,いろいろなものが見えてくる。その楽しさと,テストで答えられることの喜びが加わった。

しかし,同時にそれは,「できれば100点。90点以下なんてとんでもない。」という思い込みにもなっていった。その思いに,それほど縛られていたわけではない。でも,どうせなら志望校に合格したい。しなければならない。おもしろくてやっていた勉強だが,受験合格という目標と,そのためには,自分で決めた勉強メニューをこなして納得がいくまでやりたいというこだわりとで,自分を追い詰めていた部分もあったと思う。毎晩8時に寝て朝(?)2時に起きて勉強する毎日を送っていた。

 そんな時に私は,無性にカレーが食べたくなった。母に頼んでカレーをたっぷり作ってもらい,朝,昼,晩と3食,1週間続けてカレーを食べた。母は,何も言わずに1週間カレーを作ってくれた。このとき,内心は心配していたであろうが,受験や私の精神状態を心配するようなことは一言も言わずに,ただカレーを作り続けてくれた母は偉大だと思う。15歳の私は,「母に支えられている」などとは微塵も思っていなかったが,確かに支えられていたのだと,今になって思う。私は志望校に合格した。

投稿者

Narusa

Narusaです。 丑年の誕生日に,牛肉レトルトカレーを60箱プレゼントされました。47都道府県すべてのカレーがあります。鉄道大好き。一人旅大好き。これまでに43都道府県を旅しました。そしてなによりもカレーが大好きです。

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