鳥取県といえば,やはり鳥取砂丘だ。
学生の頃に一度行った。どこまでもどこまでも砂地が続いていて,ほかには何も見えなかった。「広大な砂丘」というにふさわしいスケールだと思った。
3年ほど前に,再び訪れた。真夏だった。
真夏の砂丘は,すさまじい暑さだろうと思い,朝6時に砂丘に着いた。
記憶に残っている砂丘よりも小さいと感じた。砂丘の端が見える。こうだったかなあ。浸食されて小さくなったのかなあ。それとも,勝手に抱いていたイメージだったかなあ。などと思いながらもその規模がはたして縮小されてしまったものなのかどうか,未だに確かめてはいない。
しかし,歩いてみると,やはり広大だった。
歩いて,歩いて,歩いて,歩いて,ようやく海の見える丘の上にたどり着いた。6時でも暑かった。汗びっしょりになってたどり着いた先には,青い青い海が開けていた。それ以上に,空はそれまでに何度見たことがあるだろうと思うくらいの雲一つない美しい青一色だった。
月並みだが,真っ青な空と真っ青な海。そして白い砂丘。青と青と白。
こんなに美しく,すがすがしい光景はみたことがないと思うほどの美しさだった。
稀有な出会いだったのだと思う。再び訪れたら,同じ美しさに出会うことはないだろう。
宝物のような景色だった。私はひとときその景色の中に存在していた。
いつまでもそこにいるわけにはいかなかった。真夏の太陽は,8時には,恐ろしいほどの熱を発していた。砂は触れるとすさまじい熱さになっていた。6時に行ったのは正解だった。