子どもが小さい頃、2種類のカレーを作っていた。
ミルクから離乳食になり、おおよその食材を食べられるようになってから、初めてカレーを食べさせた時のことを覚えている。
「カレーの王子様」という名前だったと思うが、子ども用のカレー粉を使ってみた。量も箱に書いてあった分量よりもずっと少なくした。長男が1歳半くらいの時だったと思う。
初めてカレーを口に入れた長男は、にこにこ。あっという間に食べてしまった。やっぱりカレーはおいしいのだ。
私が食べても全然おいしくはない薄味カレー。でも、カレーはカレーだ。人を魅了するものなのだ。
それから何年も、王子様カレーは、バーモントカレー甘口に変わったりしたが、大人用と子ども用の2種類のカレーを私は作り続けた。いつから1種類でよくなったかは覚えていない。でも、王子様を卒業するとき、2種類の鍋を不要とするとき、息子たちの成長とともに、ちょっとした寂しさと嬉しさを味わいながら、わが家のカレーは変化してきた。