東京に住んでいるわけではないが,東京にはよく行った。東京が好きなわけではない。でも,東京には,おいしいカレー屋さんがたくさんある。中でも,一番のお気に入りは,神田の「ボンディ」だ。「神田はカレーの町」「神田カレーグランプリ」などのフレーズをどこかで見て,「ボンディ」の評判をネットで知り,訪ねて行った。
初めて行ったのは10年近く前だろうか。神田は,憧れの古本屋街。その中の「古書センター」に入り,本棚の間を抜けて,奥の戸からいったん外へ出ると,2階にある「ボンディ」へと向かう階段がある。なんだか,このシチュエーションも好きなのだ。後で,古書センターの裏の方の道からちゃんと「ボンディ」に入ることができるということを知ったが,なんとなく,この古書センターを抜けて行きたくなる。
ボンディのカレーは,欧風カレー。私の好みとしかいいようのないおいしさなのだ。まろやかでスパイシーで,奥深く,いつまでも食べていたくなる,何度でも食べに行きたくなるカレーだ。ホームページを見ると,フランス料理が根底にあるらしい。まさに「欧風カレー」。そうだったのか。
しかし,一つだけ,残念なことがある。ここのカレーには,じゃがいもが付いてくる。このじゃがいもも,とてもとてもおいしい。しかし,カレープラスじゃがいもとなると,量が多すぎるのだ。じゃがいもは,テイクアウトできないかと聞こうと思ったこともある。でも,たぶん持ち帰ったら,同じおいしさではないだろう。どちらも食べたい。でも,やっぱりカレーが優先。カレーだけという選択肢がほしい。全く勝手な客だが。
ホームページをリンクしようかと思って,ネット検索をすると,なにやら洗練されたきれいな店が出てきた。「こて,ボンディ? ???」と,しばらく考えた。そうして気付いた。ああ,ボンディには,支店があるのか。いや,できたのか。支店もきっとおいしいのだろう。でも,やっぱり,私は,神田の古書センターを抜けて,ボンディにたどり着きたい。